1996.09.24 : 千葉市議会 平成7年度決算審査特別委員会(第3日目) 本文 

石井茂隆議員 「土気城問題」関連質問と答弁  

◯委員(石井茂隆君) 市民自由クラブの石井茂隆でございます。 
・・・・(中略)・・・・
次に,史跡等の文化財の保存と活用について伺います。
 史跡等の文化財の保存と活用は,心豊かな生活の源となるとともに,すぐれた文化の創造と発展の礎になるものと認識するものであります。
 千葉市が,我が国最大級の縄文時代の貝塚である加曽利貝塚を初めとする史跡等の保存に努められていることに,敬意をあらわすものであります。
 私は,これら史跡等の文化財を単に保存のための保存でなく,保存を基本にしながら市民の学習の場,憩いの場など,市民が身近に利用できるように街づくりの一つに取り入れ,積極的に活用すべきと考え,いま一層身近な史跡等の文化財の保存と活用を図るべきと願うものであります。
 私の地元は土気地区であり,土気地区は古くて,新しい街であります。古くは,今から400年前,戦国時代には,安房の里見氏,下総の千葉氏,南北二つの勢力に挟まれて5代100年,酒井氏が土気城を構えておりました。城跡の付近には善勝寺,本寿寺など酒井氏ゆかりの寺院もあり,歴史的にも由緒ある土地柄であります。
 また,近年,JR土気駅の南を中心に300ヘクタール余りのあすみが丘の住宅地が開発され,新しい街づくりが着々と進められています。
 土気,大椎,小食土の三つの地区の人口動態は,昭和60年10月が1万2,000人,平成7年3月が2万3,000人で,この10年間に2倍という急変ぶりです。
 新たに,この地区に移られた住民は,ここを第2のふるさととして,また旧来からの住民は,潤いのある街を目指し,新たな街づくりに努力しているところであります。住民が地域の歴史を理解し,その地をいとしく思う心をはぐくむことは,街づくりにとって第1歩であり,不可欠の要素と考えるものであります。
 そこで,土気にあります大椎城址と,土気城趾,この二つの城跡の保存等について伺います。
 大椎城址は,あすみが丘住宅地の隣接地にあり,植林された杉木立の中に酒井氏時代に設けられた空堀と土塁がよく残されており,また,1126年,大治元年,千葉介常重がこの地から千葉亥鼻へ城を移されたという伝承をもちます。
 昭和51年,千葉開府850年祭式典のかがり火の採火式が,当時の荒木市長,長谷川教育長等々の列席のもとに,この城跡で取り行われたことのある千葉氏ゆかりの城跡でもあります。
 この由緒ある大椎城址の保存は,地元の強い要望であり,土地所有者の1人は,歴史ある城跡を守っていこうと,これまで山刈りの管理を行うとともに,城跡に登る見学者に対しては,屋敷内の通行に協力してまいりました。
 しかし,山刈りというきつい作業は,年を老いる者にとって厳しいものとなり,今までどおり城跡を守るためにも,何らかの公的な支援が得られないものかというこことを聞き及んでおります。
 あすみが丘住宅地には,創造の杜という9.1ヘクタールの大きな公園がつくられ,地域住民の憩いの場などに利用されております。このような公園も必要でありますが,私は,住宅地に隣接するこの大椎城址を土地所有者から借り上げて,市民がそこを散策し,自然に親しみながら,時代の流れを感じ取ることができたら,街づくりにとって大変すばらしいと思うのであります。大椎城址の保存と活用について当局のお考えを伺います。
 2点目は,土気城址の保護について伺います。
 土気城址は,大網白里を眼下に見ることができる台地にあり,前にも話しましたように,酒井氏5代100年の居城跡で土気のシンボルの一つであり,また,市内に残る典型的な戦国時代の城跡であります。
 現在,本丸と二の丸には,土気町時代に誘致しました日本航空の研修センターがあり,それを取り巻くように,高さ4メートルほどの高い土塁と,幅広く深い堀が複雑にめぐっています。
 城跡の面積は広く,研修センターを除いてほとんどが畑や山林であります。後継者不足に悩む農家にとりましては,土地の管理は厳しく,山林は荒れ,堀の一部は廃材が投棄されたり,埋め立てられて住宅地に変わった所もあります。
 潤いのある街づくりを願うひとりとしては,土気城址がこのようになってしまうことを危惧するものであり,当局においては,この歴史的価値のある資源を今後どのように保護されていかれるかをお伺いします。
 以上,大椎城址と土気城址の保護について,答弁をお願いします。
 以上で,私の第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
・・・・(中略)・・・・

◯生涯学習部長(菊地俊正君) 質問6,史跡等の文化財の保存と活用について,2点の御質問をいただきました。お答えいたします。
 まず,大椎城跡の保存と活用についてでございますが,大椎城跡は,千葉氏ゆかりの城跡として,また空堀などの遺構がよく残るところから,従来より注目していた城跡の一つで,土気駅南土地区画整理事業におきましても,現況を保存するように指導しまして,現在,調整池に接し,一部が緑地として保存されております。
 城跡は,幅200メートル,長さ450メートルの東西に広がる台地を利用してつくられたもので,南側がけ下には人家が並び,調整池がある北側は急斜面となっております。
 また,土地の大部分が民有地であり,杉木立や竹林,これ竹林でございますが,うっそうとした山林であることから,防犯,安全,プライバシーの保護,あるいは遺跡の保護などいろいろと問題が考えられます。
 大椎城跡の保存と利用につきましては,今後土地所有者や地元の声を伺いながら,関係部局と協議してまいりたいと存じます。
 次に,土気城跡でありますが,これまで千葉市の散歩道,あるいは市内施設見学会のルートにもなっておりまして,多くの市民の方々に親しんでいたただいております。
 しかし,20ヘクタール以上に及ぶ面積すべてが民有地でありますので,城跡の保護につきましては,地元の方々の御協力をいただきながら,説明板設置などによる遺跡の理解と周知に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
・・・・(中略)・・・・


◯委員(石井茂隆君) 御丁寧な答弁をいただきまして,ありがとうございました。
 2回目は,要望にとどめておきます。
 まず,千葉土気緑の森工業団地への企業誘致の促進は,ゆめ・いきいき千葉プランにも位置づけられておりますので,地元経済の活性化,就業の場の確保,そして,税収の確保という面からも,千葉県や県土地開発公社との連携を図りながら,ぜひ具体的な行動をとっていただきたく,要望いたします。
 また,企業が立地しやすい支援策も講じていただきたいと考えております。
 次に,大網街道や,史跡などの保存にも力を注いでいただきたく要望いたします。
 また,生活道路としての市道の問題解決にも当たっていただきたいと考えております。土気地区は共有地も多く,例えば,市道17号線は,第6次五か年計画に位置づけられ,近々用地買収が始まると聞いておりますが,完成までには用地交渉に困難が予想されております。
 私も微力ではありますが,問題解決のため,行政と地元住民とのパイプ役を果たすための労はいとわないつもりでございます。
 緑区や若葉区など,千葉市の東側の都市基盤整備を推進することにより,バランスのとれた市域の発展を図っていただくことをお願いいたしまして,私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
 ※千葉市議会議事録より